煎茶道と抹茶道の違いを簡単に紹介します。

 

茶道は抹茶を用いた抹茶道が一般的に知られていますが、現在多くの人が嗜んでいる煎茶にも

煎茶道があります。茶道は様式に則って客人にお茶を振舞うものですが、単にお茶を飲むだけで

はなく、ものの考え方や宗教、茶道具等の美術品、等の広い分野が総合的に組み合わされた

芸術ですが、人をもてなすことの本質を追及することは抹茶道も煎茶道も違いはありません。

 

抹茶道は禅宗を伝えた栄西・道元らによって伝えられ、禅宗の広まりとともに精神修養的な要素を

強くして広がっていたものの、闘茶という一種の賭博が流行したり、大名などが自分の権勢を誇示

する手段として華美な茶道具を集め、豪勢な茶会を開催するようになりました。その後江戸時代に

は庄屋・商人の習い事として人気を呼び、普及発展してきたものの、武家の教養としての作法が固

まってしまった抹茶を嫌い、気軽にお茶を楽しみたいという声がでてきました。四代将軍家綱の時代

に黄檗宗の僧が中国から煎茶を伝え、文化人を中心に煎茶嗜好が広まり、煎茶を飲みながら

談義をする社交場としての人気を呼びました。煎茶は関西、中部の上流階級に広く普及し、その作

法を大成したのが煎茶道です。煎茶道の人気は明治時代になると封建制度の崩壊とともに抹茶道

の人気が更に落ち込んで行きます。日清戦争で日本が中国に勝利したことをきっかけに、中国の

文化を受け継いでいた煎茶道の人気が急激に薄れてしまいました。一方、裏千家十三代家元は

抹茶道再興に努め、有力財界人の関心を呼び、茶道を女子教育の必須科目として組み込むことに

成功しました。

 

第二次大戦後、京都の黄檗山萬福寺にて煎茶道各流派を統合した全国組織、全日本煎茶道

連盟が結成されました。現在では34流派が全日本煎茶道連盟の下に活動しています。ひとくちに

”煎茶”といってもその種類は多く、所謂煎茶以外に玉露、焙じ茶、掩茶、花茶、等々いろいろなお茶

を楽しむことができます。また、立礼(りゅうれい:椅子に座って点前する)によって、正座をしないでも

楽しめる席もあります。

 

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